2012年4月8日日曜日

鎮痛薬


.改定:10/05/14




  • 消炎鎮痛薬NSAIDs(神経内科45:107,1996)
    • アラキドン酸カスケード中のcydooxygenaseを抑制し、
      プロスタグランジンおよびトロンポキサンの合成を阻害することで
      抗炎症効果を発揮する
    • Vane JR, Inhibition of prostaglandin synthesis as a mechanism of action for aspirin-like drugs., Nat New Biol 1971;231:25:232-5
  • NSAIDsの作用
    • 末梢性といわれており、
    • 中枢内での抗片頭痛効果は次の作用が関与(説)
      • 神経細胞でのプロスタグランジン産生抑制
      • 神経細胞でのカテコラミンおよびセロトニン代謝回転の延長
      • 不快刺激によるセロトニン放出の抑制
  • アスピリンに対する他剤の優位性
    • 二つ以上の比敏試験で優位性が示されていないため
    • 現段階においてはアスピリン以外の薬剤を投与する十分な理由がないといえる
  • 他剤との併用投与
    • metodopramide(プリンペラン)10mg筋注+asprin(アスピリン1000mg) + diazepam(セルシン)5mg内服が効果的とされている(2)
  • 発作治療
    • 片頭痛発作中は、たとえ嘔吐のない患者でも吸収が障害されている。(LANCET 351:1043,1998)
    • プリンペラン、ナウゼリンといっしょに消炎鎮痛薬を服むとよい。
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●非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDs)

  • ステロイドホルモン以外の薬物で、抗炎症作用を有する薬剤の総称である.
    同時に解熱、鎮痛作用を併せもつ.
  • 酸性/塩基性のものがある。
  • 「塩基性」は鎮痛作用強く、抗炎症作用弱い
  • 「酸性」の共通点
    • 用量を増やすと「天井効果」、作用時間は延長
    • 耐性、身体的・精神的依存なし
    • COX阻害。PG産生抑制→鎮痛、抗血小板、胃傷害
  • COX(シクロオキシゲナーゼ)は1と2がある。
    • COX−1は恒常的に腎や胃で発現
    • COX−2は炎症などで新たに発現する。
    • 「2」のinhibitorは副作用が少ないので、注目を集めている。
  • 効果および副作用の発現には、著しく個体差が存在する.
  • 本系統の薬剤を2剤併用することは原則として行わない.
  • 血漿蛋白と結合するために、
    経口糖尿病薬(トルブタマイドなど)や抗凝固薬(ワルファリンなど)の作用を増強するので、
    併用は注意を要する.
  • 長期連用により消化性潰瘍を誘発することがある.
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●NSAIDSの分類

1.酸性抗炎症薬カルボン酸系

  • 1)サリチル酸 少量で抗血小板作用を有する.
  • 2)メフェナム酸 (ポンタール) アントラニール酸とも呼ばれ、抗炎症よりも鎮痛作用に優れる。
  • 3)アリール酢酸 (ボルタレン/インダシン) 抗炎症、鎮痛・解熱作用とも強い
    • フェニル酢酸 ジクロフェナクナトリウム フェンブフェン キノロン系鎮痛剤との併用でけいれんのおそれ。
    • インドール酢酸インドメタシンスリンダクスリンダクは腎障害が少ない.
  • 4)プロピオン酸(ブルフェン ナイキサン ロキソニン)炎症・鎮痛・解熱作用を平均して有する.胃障害、腎障害などの副作用が比較的少ない.
  • ヘテロアリール酢酸(トレクチン)PGE2も抑制
  • エノール酸系
  • 5)ピラゾロン(ブタゾリジン)最強。血中半減期が長い.浮腫、造血障害などの副作用が多い.長期連用は行うべきでない.
  • 6)オキシカム(フェルデン)血中半減期が長く、1日1回投与でよい.腎機能低下例に注意
2.塩基性抗炎症薬
  • ソランタール:炎症・鎮痛作用は緩和であり、抗リウマチ作用はほとんどない.副作用も少ない.
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●非ピリン系解熱鎮痛薬

  • 中枢性の解熱鎮痛薬である.
  • したがって炎症に伴う頭痛には効果が弱い
  • アニリン誘導体であり、フェナセチンとアセトアミノフェンが有名である.
  • アセトアミノフェンはフェナセチンの代謝産物である.
  • 抗炎症、抗リウマチ作用はない.
  • ピリン過敏症の患者に有用である.
  • アスピリン不耐性の患者にも有用である
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●ピリン系解熱鎮痛薬

  • ピラゾロン核を有しており、中枢性の解熱鎮痛作用を有する.
  • スルピリン、メチロン、セデス(合)、サリドン(合)などが該当する。
  • アミノピリンは発癌性を有するために、経口薬としては使用されなくなった.
  • ピリン過敏症の患者には禁忌である.
  • 強い解熱、鎮痛作用に比して抗炎症作用は弱い.
    • 1883年に自然界に存在しない、研究室から生まれた化合物に解熱作用があることが発見された。
    • アンチピリンである。
  • ドイツのE.Fischer(1852−1919)がとキノリン類の合成研究をしていて、
    偶然に得たピラゾロン化合物に解熱作用があることがわかり、
    アンチピリンと命名、市販したのである。
    いまはまったく自然界に存在しない化学薬品がつぎつぎと合成されているが、
    それのはじまりはアンチピリンであった。いずみ'99NOV
    注:【ピラゾロン誘導体】pyrazolone derivative
     アンチピリン、アミノピリン、スルピリンなどの鎮痛・解熱薬が含まれる.
    末梢性にはプロスタグランジンの合成を阻害し、
    鎮痛作用、中枢性には視床下部に作用して、
    主として解熱作用、一部鎮痛作用を示す.
    血流量増大と発汗(中枢性)により熱の放散を高め、解熱作用を示す。
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●オピオイド性鎮痛薬

  • オピオイド受容体に作用して鎮痛作用を発揮する.
  • 麻薬にある耽溺性、習慣性が比較的少ない.
  • 大量長期連用は薬物依存性を引き起こすため、短期投与を心掛ける.
  • 呼吸抑制をはじめとする重篤副作用もあり、慎重に適応を選択すべきである.
  • オピオイドによく反応する痛み:内臓浸潤
  • ある程度反応する痛み:骨浸潤、神経圧迫
  • 反応しにくい痛み:緊張型頭痛、頭蓋内圧亢進、神経因性疼痛、ヘルペス後疼痛、筋の痙攣による疼痛、交感神経由来の痛み
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●ステロイド剤

  • 種々のサイトカイン産生に対して抑制的に働き、抗炎症作用を発揮する。
  • 頭痛には群発頭痛、側頭動脈炎、生理時片頭痛などに用いられる。
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●鎮痛のための注射製剤

  • サリチル酸ナトリウム sodium salicylate 
    サルソニン Salsonin(扶桑)
     注:250mg/5mL/A・500mg/10mL/A 1回0.5〜1g(10〜20mL) 1日1〜数回 静注
    【適応】 症候性神経痛
  • スルピリン sulpyrine はピリン系解熱鎮痛薬であるが、適応は解熱のみ
  • カシワドール Kashiwadol(小林薬工-エイパム、ウェルファイド)
     注(20mL):サリチル酸ナトリウム400mg、コンドロイチン硫酸ナトリウム200mg、亜硫酸水素ナトリウム20mg、1日1回1A 3分以上かけて緩徐に静注
    【適応】 症候性神経痛、腰痛症
  • ザルソカイン(宇治)[スルピリンの他にサリチル酸Na、カフェイン、アロバルビタール、塩酸プロカイン]は症候性神経痛、腰痛症に適応がある。(発売中止?)
  • フルルビプロフェン アキセチル flurbiprofen axetil ロピオン Ropion(科研)
    【適応】 鎮痛:術後、各種癌
  • オピオイド系のものには塩酸ブプレノルフィン(レペタン)やペンタゾシン(ソセゴン、ペンタジン )など7製剤がある。【適応】は各種癌、術後、心筋梗塞など
  • アンナカ【適応】[注]眠気、倦怠感、血管拡張性及び脊椎穿刺後頭痛
  • ノイロトロピン【適応】 腰痛症、頸肩腕症候群、症候性神経痛 2)皮膚疾患(湿疹・皮膚疹、蕁麻疹)に伴うそう痒 3)アレルギー性鼻炎 4)スモン(SMON)後遺症状の冷感・痛み・異常知覚
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●セデスと同一組成薬品

  • イソプロピルアンチピリン 150mg)
    アプロナール         60mg)
    フェナセチン         250mg)
    無水カフェイン         50mg)
  • 注:apronalide
    《アプロナール;apronal》
    プロピルアリルアセチル尿素
    バルビツール酸系催眠薬のアプロバルビタールを、アルカリ分解で環開裂したもの.鎮静・催眠作用は、同じアシル尿素誘導体であるブロムワレリル尿素(ブロバリン)に比べてやや強い。催眠には250〜500mg、沈静250mgを1日3回
  • アミピロ-N Amipylo-N、サリドン、セデスG 、ソルボン、グリンケンH、コレデスA、サリイタミン、セパA、トーワサール、プロニドン、プロニドンソフト、マセダール、レオミン、ロイマピリンSが同組成。
    発売停止のものにチートン、アリソフェン
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◆ 2001.4.20 「セデスG」「サリドン錠」などフェナセチン含有医薬品が供給停止に  

  • 厚生労働省は4月19日、医療用フェナセチン含有医薬品の供給停止を製薬メーカーに対して要請した。
  • 2000年11月から2001年3月にかけて、医療用フェナセチン含有医薬品で
    長期間の大量服用による重篤な腎障害などの報告が相次いだための措置。
  • 長期間大量に使用すると、腎障害や腎盂・膀胱腫瘍などが発生する危険性については
    1982年11月に、厚生省医薬品情報で医療関係者に呼びかけていた。
  • 厚生労働省は、頭痛や月経痛、歯痛などに鎮痛に対しては、
    長期使用での副作用の危険性が低いアスピリンやアセトアミノフェンなどで代替可能としている。
  • 長期使用を避けるなど使用上の注意を守って服用すれば
    腎障害などは発生しないため、既に集荷されている製品の回収は行わない。
  • なお、「新セデス錠」や「セデス・ハイ」(塩野義)、
    「サリドンA」や「サリドンエース」(日本ロシュ)といった、一般用医薬品は
    フェナセチンを含んでおらず、供給停止の対象になっていない。
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●アラキドン酸カスケード


何が嚢胞と椎間関節肥大を引き起こす
  • 医学のあゆみ 2002;230:66
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  • アセトアミノフェンはCOX-3に作用して鎮痛効果が発現する可能性がわかりました。⇒COX-3について
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●アセトアミノフェンの特徴

  • アセトアミノフェンは中枢作用性の解熱鎮痛薬である
    • 体性痛(表在痛・深部痛)には有効であるが内臓痛には効かない
    • 感冒に伴う疼痛や頭痛、歯痛、筋肉痛、背痛、関節痛、月経痛に有効
    • 炎症を伴う疼痛にも弱い(NSAIDsを用いる)
  • 鎮痛薬の中でもっとも安全性の高いものである.
    • 末梢のプロスタグランディンに作用しないためにNSAIDsに伴う下記の副作用は現れにくい
      • 消化管障害、消化管のびらん、消化管出血や潰瘍
      • 腎臓障害
      • 血液凝固阻害作用(消化管出血のリスクが少ない、術前投与に適する)
    • 過量(7500〜10000mg)大酒家の場合にのみ肝障害が現れる
    • 尿酸排泄に影響ない(アスピリンはある)
    • ライ症候群との関連性はなし
    • アレルギー反応の発現はまれ
  • 他の処方薬や市販(OTC)薬との薬物相互作用は少ない
  • 臓器合併症のある患者(肝腎・胃腸障害など)にも使える
  • 小児鎮痛薬の第一選択
  • 妊娠中にも服用可能である
  • 授乳中への移行は1.85%
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●アセトアミノフェンは片頭痛に有効

  • 289名にアセトアミノフェン(A)1000mgとプラセボ(P)を割付た。プラセボとは偽薬のことです。
  • 2時間後:効果ありは A:P=57.8%対38.7%
  • 2時間後:頭痛消失は A:P=22.4%対11.3%
  • 高度頭痛の場合の効果は A:P=50.9%対:27%
  • 著効は: A:P=51.7%対:28.2%
  • 機能的障害、光過敏、音過敏も軽減した。
  • ただし悪心には効果なし
  • アセトアミノフェンとはもっとも安全で胃腸障害のない鎮痛薬で、
    「タイレノール」の名まえで市販されています。
  • 出典:Lipton RB. Acetaminophen an effective treatment for the least disabling migraines. Arch Intern Med 2000;160(11):3486-3492
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●アセトアミノフェン単味製剤の特徴と利点

  • 胃にやさしい:  アセトアミノフェンは、胃腸障害の副作用(消化管刺激、潰瘍)が比較的おこりにくい。したがって胃の荒れやすい方にも薦められる。
  • 飲み合わせの心配が少ない: 単味剤は他の薬効成分との相互作用のリスクが少ない。したがって飲み合わせによる副作用の心配が少ない。
  • 眠くなる成分がない: 単味剤は、催眠鎮静成分が含まれていない。自動車や機械の運転者に適する。
  • セルフメディケーションに適しています: 単味剤は、症状に合わせて薬を選択でき、副作用の原因を特定することが容易のためセルフメディケーションに適している。
  • アセトアミノフェン製剤にはタイレノールなど何種類かあります。薬局の先生と相談してください。
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●アセトアミノフェン単味製剤(タイレノール)について

  • Tylenol(アセトアミノフェン製剤)は1955年に上市された
  • 過去40年以上にわたりのべ400億回以上服用されている
  • Tyllnolは米国において、使用頻度のもっとも高い鎮痛薬である
  • 日本ではジョンソン・エンド・ジョンソンと武田薬品工業が2000年9月19日に発売した
  • 2005年現在、両者の提携は解消している。
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●アセトアミノフェンの推奨用量(米国における)

  • 成人および12歳以上の小児に対して
    • 650〜1、000 mg、4〜6時間ごと(適宜調整)、1日最大4、000 mgまで
  • 12歳未満の小児
    • 10〜15mg/kg、4〜6時間ごと、1日5回(50〜75mg/kg)まで
  • アセトアミノフェン製剤であるTylen〇lについて、「食事とともに服用すること」―との説明を添付するよう米国当局から要請されたことはない。
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●アセトアミノフェンの作用機序

  • 鎮痛作用の機序は十分に解明されていない
  • アセトアミノフェンは疼痛闘値の上昇により鎮痛作用をもたらす(Flower 1985、Guzman 1964、Lim 1964)。
  • その機序としては
    • NMDA、サブスタンスPなど多様な神経伝達物質の受容体を介する一酸化窒素(NO)経路の抑制が関与する
    • 可能性がある(Bjorkman 1994)
    • アセトアミノフェンは中枢神経系におけるプロスタグランジン産生と放出を遮断して
      脳の体温調節中枢に対する内因性発熱物質の作用を抑制する(Anleer 1977、Alkins 1974、他)
    • (参考)白血球が産生する内因性発熱物質が脳脊髄液中でプロスタグランジンE(PGE)を増加させる
      このPGEが前視床下部の視索前野に作用し、発熱する。
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●アセトアミノフェン単味製剤(タイレノール)の剤形


●タイレノール用法・用量変更に関するQ&A(2002年)

  • 空腹時にのんでも胃を荒らしませんか?
    はい、タイレノールは胃を保護するプロスタグランジン産生能への影響が少ないため、胃にやさしいのです。
  • どうして空腹時にのんでもよくなったの?
     もともとタイレノールは胃にやさしい解熱鎮痛薬だったのですが、
    今回、用法・用量が改訂され、空腹時でものむことができるようになりました。
    ただし、かぜによる悪寒・発熱時にはなるべく空腹時を避けて服用してください。
  • 変更されたのは用法・用量だけ?
    はい、今回は用法・用量の改訂に伴う表示の変更であり、成分・分量および効能・効果に変更はありません。
  • かぜによる発熱にも、空腹時にのんでいいの?
    かぜによる発熱や悪寒の場合は、なるべく空腹時をさけてのんでください。
  • 他の解熱鎮痛薬も空腹時にのんでいいの?
    2002年3月現在、一般用医薬品では、
    タイレノール以外のほとんどの解熱鎮痛薬は
    なるべく空腹時をさけて服用することが求められています。
    ただし、個別の服薬指導に際しては、それぞれの薬の用法・用量をお読み下さい。
  • すべての製品の用法・用量が変更されたの?
    「タイレノールFD」、「タイレノールFD小児用」の用法・用量も順次切り替わる予定です。
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  • (ニュースから)2002.7.5 一般用解熱鎮痛薬「タイレノール」が空腹時でも服用可能に、用法・用量が改訂
    • ジョンソン・エンド・ジョンソンと武田薬品工業は
      7月4日、2000年秋から販売している一般用解熱鎮痛薬「タイレノール」シリーズの一部品目の用法・用量が改訂され、
      空腹時でも服用できるようになったと発表した。
    • ただし、「かぜによる悪寒・発熱時には、なるべく空腹時をさけて服用すること」が付記されている。
    • 漢方薬や生薬成分などによる解熱鎮痛薬を除けば、日本で初めて空腹時でも飲める頭痛薬になったという。
    • 改訂の理由は、タイレノールは主に中枢(脳)において、痛みを増幅するプロスタグランジンの合成を阻害して鎮痛効果をもたらす一方、胃粘膜保護に関与するプロスタグランジンの合成阻害は少なく、胃腸障害を起こしにくいと認められたため。
    • 改訂の対象は、「タイレノールA」「タイレノール細粒」「タイレノール小児用」「タイレノールチュアブル小児用」の4品目。
    • 成分・分量や効能・効果については、改訂されていない。
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●アスピリンもハーブ

  • アスピリンも、本来は柳の樹皮から採れるハーブ系の薬剤の一種なのだ。
  • もちろん、今はどんな製法で作られているのか、彼女は知らない。
  • 世界じゅうの頭痛持ちを治してきたのだから、
    そのたびに柳の本を切り倒していたのでは原料が足りなくなるのは目に見えている……。
  • ローレンス・ブロック「頭痛と悪夢」光文社文庫5-1より
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●アスピリンの語源

  • 論争があります。
  • ドイツ・バイエル社刊「アスピリン百年史」には
    「1899年1月23日に開かれたバイエル社内の会議で、
    新薬の名に、第二候補の"Euspirin"を斥けて"Aspirin"が全会一致で選ばれた。
  • "a"はacetylに、また"spir"はspiraeic acidに由来する。
  • 同年2月1日にAspirinは商品名として登録申請され、
    3月6日にベルリンにある帝国特許局の商品名リストにNO.36433として記載された」とあります。
  • なお同文献中には、
    ナポリの司教であつた"聖アスピリヌスAspirinus"は頭痛の守護聖人とされ、
    Aspirinがその名によるとの伝説がある、とも書かれています。⇒アスピリヌス
  • 出典:Medical Tribune1998.12.17
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●アスピリンが心血管イベント(脳梗塞、心筋梗塞など)2000年11月より薬価収載

  • 2000年9月厚生省は従来の効能に加えて、血小板の凝集を防ぐ効果を承認した。
  • これを受けてバファリン81mg錠(旧:小児用バファリン)など7社2成分7品目が2000年11月末薬価収載(医療保険で使える)された。
  • アスピリンの血小板凝集抑制作用は60年頃から注目
  • 以来大規模研究がなされ、抗血小板薬として承認されるようになった
  • 米国FDAは98年10月に適応しょうにんされた
  • 日本では一日140万人が適応外使用されてきた
  • しかし新しい適応をとるのは採算的にあわないので「ヤミ」で使われてきた
  • 今回の処置は海外で承認されていれば臨床試験を経ないで適応拡大された第一号となる
  • 新規の適応は
    • 狭心症、心筋梗塞、脳血管障害、冠動脈バイパス術後などにおける血栓・塞栓形成の抑制
    • 原則、二次予防が目的
    • 糖尿病や高血圧など心血管イベント発症のリスクが高いとされる疾患への適応はない
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●アスピリン粉末は、pHが低いために、歯の浸食合併しうる。
McCracken M, O'Neal SJ: Dental erosion and aspirin headache powders: a clinical report. J Prosthodont 2000, 9:95-98

●ローマだより

  • 1999年3月6日はまさに「アスピリン」商標登録から100年目だそうで、
    イタリアの新聞・テレビでも報道されておりました.
  • 「紀元前1500年のパピルスに、
    関節痛にミルトの葉を水に漬けておいたものが挙げられている。
    ずっと後世になって、その葉にはacido sallcilicoが含まれていることが判っている。
    紀元前400年にヒポクラテスが柳(Salice)に鎮痛効果があることを突き止め、
    柳の葉の煎じ薬とか柳の皮から抽出した飲み物の服用を奨めていた」
    とも書いてありました。
  • イタリア人(人口6200万人)の2500万人がアスピリンを常用しています。
    • 風邪・インフルエンザ 82%
    • 発熱・頭痛 58%
    • 筋肉痛・骨の痛み 31%
    • 生理痛 26%
    • 歯痛 21%
    • 背中の痛み 12%
    • 心筋梗塞、脳梗塞予防 6%
  • 出典:坂本鉄男様よりの手紙です。1999.03.08)
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●抗菌作用

  • 黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)の毒性低減にアスピリン投与が有効である。
  • ダートマス大学(ニューハンプシャー州ハノーバー)微生物学・免疫学のAmbrose Cheung教授らは,この効果がサリチル酸の直接的な抗菌作用によるものであることを確認した。
  • Journal of Clinical Investigation(JCI 112: 222-233)
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●大腸癌


悪い硫酸れている
  • アスピリンが予防するのはCOX-2陽性の大腸癌のみ
  • アスピリンの定期的摂取による大腸癌リスク低減効果は、COX-2酵素が過剰発現している腫瘍のみで確認された
  • (m3.comメール2007年05月29日)
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●インドメタシンのつづり

  • INN(International Nonproprietary Names:国際一般的名称 WHO制定)での収載名はIndometacin
  • USP(The Pharmacopoeia of the United States of America アメリカ薬局方)での収載名はIndomethacin
  • BP(British Pharmacopoeia イギリスの薬局方)での収載名はIndomethacin
  • 以上、両方のつづりが混在しています。
  • 頭痛の論文ではIndomethacinのつづりがもちいられています。
  • 日本の薬局方はIndometacinです。
  • 頭痛大学では2002.01に一斉置換でIndometacinにしてしまいましたが、いずれ論文のとおりになおします。
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●インダシンのホームページ

●インフリー Infree(エーザイ)

  • インドメタシン ファルネシル indometacin farnesil
  • カプセル:100mg S軟カプセル:200mg
  • 1回200mg 1日2回(朝夕食後)
  • 脂溶性物質ファルネソールをインドメタシンにエステル結合させたものである。
  • 作用は本剤から遊離された活性体であるインドメタシンのシクロオキシゲナーゼ阻害によるプロスタグランジン生合成抑制作用
  • インダシン75mgとインフリー400mgがほぼ同等
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  • ■インフリーとインダシンの換算データ
    【背景】
    インドメタシン反応性頭痛についてはインドメタシンで50-75mgを使用する。海外では150mg程度使用する。150mg以上使用して無効であれば,無効と判定する。
    これと関連してインフリーとインダシンの換算データを知りたい。
    【回答】
    インフリーの成分名はインドメタシンファルネシル
    インドメタシンにゲラニル基がついている。
    直接胃腸障害が起こりにくい。
    インフリー100mg中には、インドメタシン63.6mg換算が含まれている。
    インフリーの吸収率は約20%
    インフリー一日量400mgは63.6mg×4×0.2=50.88mgのインドメタシンと同等
    二重盲検でインダシン75mg/日とインフリー400mg/日を慢性関節リウマチと変形性膝関節症に投与したところ両剤の効果はほぼ同等
    参� ��: インフリー、インダシンの添付文書を記載したページ


    (2003/12/22)
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●構造

セロトニンの化学構造

インダシンの化学構造


  • インダシン(インドメタシン)とセロトニンはインドール核を有する。
    そのために特有な効果が生まれるものと思われる。
    ほかにインドール核をもつ医薬品には統合失調症治療薬ホーリット(r)があるのみ。

  • 逆にインダシンでないと効かない頭痛もある
  • これを「インドメタシン反応性頭痛」という(Indomethacin-responsive headache syndrome)
  • インドメタシン補足
    • 強力な鎮痛薬
    • ヒトの外頸動脈を軽度に収縮させる(Sicuteri F et al 1965)
    • ラット硬膜の神経原性炎症plasma protein extravasationを減弱させる(Buzzi MG et al 1989)
  • 副作用
    • インドメタシンはふわふわ感を伴う起立性低血圧を起こすことがある.
    • 頭痛の副作用が起こる。
  • インドメタシンはアルツハイマーの治療に役立つかも知れない。
    Medline ID: 97349891
    Citation: Ma TC, Zhu XZ, Suppression of lipopolysaccharide-induced impairment of active avoidance and interleukin-6-induced increase of prostaglandin E2 release in rats by indometacin., Arzneimittelforschung 47: 5, 595-7, May, 1997.
    Abstract
    Perfusion of indometacin (0.3 mol/l) into the hippocampus for 1 h obviously suppressed the IL-6-induced PGE2 response. These findings provide experimental evidence that--assuming that central inflammation may be involved with Alzheimer's disease a non-steroidal anti-inflammatory drug may be used in the treatment of Alzheimer's disease.
  • インドメタシンは軽度〜中等度にアルツハイマー病を改善
    Rogers J et al. Clinical trial of indometacin in Alzheimer's disease. Neurol 1993;43:1609-11
    6ヵ月間。二重盲検。100-150mg/日のインドメタシンは軽度〜中等度にアルツハイマー病を改善(cognitive)。インドメタシンは1.3%改善、プラセボは8.4%悪化。
    アルツハイマー病には炎症性・免疫性機序が関与?(J Neoral Transm Suppl 1998;54:175-86)
  • スカベンジャー作用もあり。脳卒中や頭部外傷に脳保護目的に用いられる。
    インドメタシンにsuperoxide とhydroxyl radical消去能を認めた(池田幸穂:第29回日本慢性疼痛学会2000抄録より)

    ●インドメサシンはNO発生に関連するプロスタグランディン合成を抑制する。

    ●インダシンは頭蓋内圧亢進を改善する。

    特発性頭蓋内圧亢進症を持つ7人と髄膜腫による頭蓋内圧亢進1名についてインドメサシン投与により頭蓋内圧が低下した。50mgのインドメサシン静注により350mm〜500mmH2O ( 平均400mm H2O)の髄液圧が最低10分の間に80〜200mmH2O(平均139mm H2Oの低下)まで低下した。インダシンは頭蓋内圧亢進の治療の一法であるかもしれない。S. Forderreuther and A. Straube/Indomethacin reduces CSF pressure in intracranial hypertension /Neurology 2000 55: 1043-1045.

  • ●目覚まし時計頭痛はインドメサシン反応性頭痛である。いままで有効とされてきた薬剤はLithium 、caffeine、flunarizine、verapamil、indometacin
    Dodick DW et al. Hypnic Headache: Another Indomethacin-Responsive Headache Syndrome? Headache 2000:40;830

  • ●50mg静注インドメタシンが頭蓋内圧(ICP)を減らす。頭痛も軽減した。75mg/日のインドメタシンの長期的投与も効果があった。ただしacetazolamideまたは反復的な腰椎穿刺も併用されていた。
    Forderreuther S, Straube A: Indomethacin reduces CSF pressure in intracranial hypertension. Neurology 2000, 55:1043-1045

  • JA Pareja, et al.. Dose, efficacy and tolerability of long-term indomethacin treatment of chronic paroxysmal hemicrania and hemicrania continua. Cephalalgia 2001;21:906-910⇒HCとCPHに対するインドメサシンの効果

  • インドメタシンは脳炎症後の神経形成を回復させる
    Indomethacin restores neurogenesis after brain inflammation
    (Science 2003;302:1215-1217.)
  • 第23回日本脳腫瘍病理学会(2005/4/21-22)の抄録(47)
  • 石橋先生「インドメタシンは細胞外マトリックスへの接着に重要な役割を演ずるlamininγ1蛋白の発現を抑制することにより
    膠芽腫細胞の浸潤を抑制する」
    laminin1蛋白の発現を抑制するのはインドメサシンとサリンダックサルファイドだけで、他のNSAIDは抑制しない。
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●COX : シクロオキシゲナーゼ(Cyclooxygenase)

  • アラキドン酸からプロスタグランジン(PG)やトロンボキサン(TX)が生成される
  • その過程の中間体であるプロスタグランジンG2の生成に関与する酵素
  • アラキドン酸は生体内の必須脂肪酸である
  • 近年、COXには以下の2種類のものがあることが遺伝子・蛋白レベルで明らかにされた
  • COX-1: シクロオキシゲナーゼ-1(Cyclooxygenase-1)
    • COX-1は正常な生理的条件下で、正常な腎臓や胃の機能、血管の恒常性を調節している
    • COX-1が生理的に活性化されると、つぎのものが生成される
      • プロスタサイクリン(PGI2): 抗血栓形成作用や胃粘膜における細胞保護作用
      • プロスタグランジンE2(PGE2): 腎臓と胃粘膜の血流を増進する
      • トロンボキサンA2(TXA2): 血液の凝固過程において重要な役割を果す
    • COX-1は、大部分の組織で恒常的に発現される
      • とくに血小板、血管内皮細胞、腎臓の集合管、胃粘膜で大量に発現される
  • COX-2:シクロオキシゲナーゼ-2(Cyclooxygenase-2)「炎症性COX」ともいわれる
    • COX-2は、炎症性刺激(マクロファージ、サイトカイン、エンドトキシンなど)の刺激により生成
    • COX-2は、プロスタグランジン(PG)、プロテアーゼなどを生成してる酵素
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  • まとめると
    • 生理的刺激でCOX-1誘導、抗血栓、胃粘膜・腎臓保護
    • 炎症刺激で、COX-2誘導、炎症反応を起こす
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●COX-2選択的阻害薬

NSAIDsはシクロオキシゲナーゼ(COX)という酵素の活性を阻害する。
COXはアラキドン酸からプロスタグランジンG2(PGG2)を経てPGH2を産生する酵素である。PGH2から各種プロスタグランジンが作られる。
COXはPG産生の大もとををているといえる。
COXにはCOX-1とCOX-2の二種類がある。

大きく異なる生理機能
COX-1は、各種細胞の細胞膜に活性型として常在する。
COX-2は、細胞核内でサイトカインやホルモンなどの刺激により誘導それる。
核がない血小板には、COX-2は存在しない。
COX-1は、必要時に瞬時に、PGを供給し、胃粘膜保護や血小板凝集に関与している。
胃粘膜細胞では、食物などに含まれるアラキドン酸からCOX-1がPGE2を産生し、粘膜保護機能(胃粘膜血流の維持、粘液産生の増加)などのを発現する。

COX-2は発現までに1〜2時間が必要である。
COX-2が関係するのは炎症反応である。
PGE2の産生を通じて、血管滲出反応に関与する
視床下部のPGE2の産生により発熱反応に関与する。
肉芽形成、血管新生、排卵に関与している

COX-2選択的阻害薬の特徴
炎症・痛み・発熱の抑制の目的には、COX-2に選択性のあるほうがよい。
COX-1を阻害すると、胃粘膜傷害や出血傾向を起こす。
しかしCOX-2を阻害すると、肉芽形成や血管新生が抑制され、潰瘍がある場合は、その治癒が遅延する。

インフルエンザ脳炎・脳症に対するジクロフェナクの作用は、
COX-2活性の阻害により血管内皮の修復を遅延させたためかもしれない。

NSAIDsのCOX-1、2に対する選択性
ジクロフェナク、メフェナム酸などにCOX-2抑制が高い。

COX-2阻害薬の新たな可能性は、
大腸癌の抑制効果
アルツハイマー病の抑制効果(アルツハイマー病ではCOX-2が増える)
避妊薬(排卵時COX-2が誘導)


魚の油の丸薬diahreaを引き起こす可能性があります

各種NSAIDs及び鎮痛薬での、血中COX活性を50%阻害する薬物濃度
IC50、単位はμM
表中のIC50値が小さいほど、COX活性の阻害作用が強い
(厚生省医薬安全局「医薬品・医療用具等安全性情報」No.163.2000年11月より、一部故変)。
薬品名     COX-1活性/COX-2活性/1-2比(大きいほどCOX-2優位)/2-1比(大きいほどCOX-1優位) 
ケトプロフェン    0.11/ 0.88/ 0.1/ 8 /(メナミンなど、COX-1活性最強)
インドメタシン    0.21/ 0.37/  0.6/ 1.8/(COX-1,2とも強い)
ジクロフェナク    0.26/  0.01/  26/  0.0/(COX-2活性最強)
フルルビプロフェン  0.41/  4.23/  0.1/  10/(フロベン、COX-1活性比最強)
メフェナム酸     1.94/  0.16/  12/  0.1/(ポンタール。COX-2活性強い)
アスピリン      4.45/ 13.88/  0.3/  3.1/(COX-1活性に比しCOX-2活性が弱い)
イブプロフェン    5.90/  9.90/  0.6/  1.7
アセトアミノフェン 42.23/ 10.69/ 4.0/  0.3

COX-2優位は、炎症・痛み・発熱の抑制の目的にすぐれる。(ボルタレン、ポンタール)
COX-1優位は、抗血小板作用に優れる。(アスピリン、フロベン、メナミン)
両方が拮抗(インダシン)

(出典:堀美智子、国重敦子、Nikkei Medical 2001.1:140-141,2001)

ほかに医学のあゆみ196巻(2001)にNSAIDsの特集があります。


  • ジソペイン(mofezolac)のCOX-1阻害作用はインドメサシンやボルタレンに比較して約5〜10倍です(COX-1/COX-比0.003)
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●COX−2の特集

  • COX−2の遺伝子構造は発癌プロモーターや炎症性サイトカイン、成長因子、ホルモンなどで誘導されるimmediate early geneと同定され、COX-1とは細胞内局在や機能がまったく異なるisoformであることが明らかである.
  • その後、COX−2は炎症や癌化といった臨床病態におおいに関係のあることが判明した。
  • 最近では、欧米でCelecoxibやDidofenacなどのCOX−2選択的阻害剤が発売された。
  • 大腸癌のchemopreventionがにわかに現実味を帯びている。
  • COX−2はアルツハイマー病、虚血性脳障害、インフルエンザ脳症に関係している。
  • このようなCOX−2について医学のあゆみ2001;197(2)に特集が組まれている。
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●酵素活性阻害濃度比IC‐50(COX-1/2)


  • IC‐50は酵素の活性を50%抑制する薬剤の濃度。
  • COX-1/2はCOX-1、COX-2のそれぞれの酵素活性を50%抑制する薬剤の濃度比であり、
    この値が大きいということはCOX-2を低濃度で選択的に抑制する薬剤であることを意味する。
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  • COX-2選択性の高いNSAIDsが、心血管リスクを上昇させるとの発表が欧米で相次ぎ、混乱が起きている。
  • Nikkei Medical 2005年3月号 16-17
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●COX-3について

  • 2002年末、COX3新発見の報告がProc.Natl.Acad.Sci.USA.99に掲載されました。
  • この報告では、脳内で痛みに関与するシクロオキシゲナーゼ3(COX3)の存在が明らかにされ、
    アセトアミノフェンがこのCOX3を特異的に阻害することで鎮痛効果を発現し、
    これまで不明の点が多かったアセトアミノフェンの作用機序が明確になりました。
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  • 共通
    • 消化管障害
    • 腎障害
    • 血小板凝集能低下(出血性素因)
    • 皮疹
    • 肝障害
    • 造血器障害
  • 個々のNSAIDsによる比較的特異な副作用
    • アスピリン:喘息、耳なり・難聴(血中濃度に比例する)。
    • インダシン:めまい・ふらつき、頭痛、パーキンソン症候群の悪化
    • ブルフェン:髄膜刺激症状(膠原病患者に使うとおこり易い)。
    • ポンタール:溶血性貧血
    • ブタゾリジン:再生不良性貧血、無顆粒球症
    • ナパノール:ニューキノロンとの併用により痙攣
  • 造血器障害
    • 血小板機能低下
    • 溶血性貧血(ポンタールなど)
    • 骨髄抑制、血小板減少(アスピリン、インダシン)
  • 呼吸器障害
    • アスピリン喘息(成人の7.7%、ロイコトリエンが増加)
    • ボルタレン誘発好酸球性肺炎
  • 過敏症
    • 皮疹:劇症の皮膚炎の可能性もある。
    • 過敏性血管炎
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  • 高血圧治療ガイドライン2009によれば、鎮痛薬(非ステロイド性抗炎症薬)は血圧を上昇させ、降圧薬の効果を減弱させます。その影響は高齢者で著しいということです。(2009-03-15)
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●アスピリン使用上の注意

  • 胃炎・消化管出血
  • 喘息
  • 血小板凝集能低下(出血性素因)
  • 腎血流低下
  • 尿酸排泄能の低下
  • アレルギー反応
  • ライ症候群
  • 妊婦・授乳婦
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●鎮痛剤共通の禁忌、副作用、慎重

【副作用】   1)消化器(消化性潰瘍)   (胃痛、悪心・嘔吐、胃部不快感、腹痛、胃重感、口内炎、食欲不振、下痢、便秘、腹部膨満感、胸やけ等)   2)血液(白血球増多、顆粒球減少、血小板減少、貧血等))   3)過敏症(発疹、かゆみ等)→中止    4)腎臓(BUN・クレアチニンの上昇)   5)肝臓(GOT・GPT・Al-Pの上昇)   6)精神神経(眠気、頭痛、めまい、立ちくらみ等)   7)その他(むくみ、眼瞼のはれ)   1)ショック   2)皮膚(Stevens-Johnson症候群、Lyell症候群)   3)過敏症(局所性浮腫、そう痒感、発疹等、顔・舌部の浮腫、発疹、蕁麻疹等、発疹、浮腫、結膜炎、剥脱性皮膚炎)   7)循環器(心悸亢進、徐脈、チアノーゼ、胸部不快感等)   8)精神神経(不眠、不安、振戦、めまい、頭痛、眩暈、眠気等)   9)運動器〔知覚異常(四肢のしびれ)、四肢筋痛、四肢脱力感等〕(四肢末端に刺激感)  悪性症候群Syndrome malinは抗精神薬で一般的にあらわれ易い重要な副作用である。(用語集参照) 口周部等の不随意運動も抗精神薬に現れやすい
【禁忌】 同系統の薬剤に過敏症の既往   1)消化性潰瘍   2)重篤な血液の異常   3)重篤な肝障害   4)重篤な腎障害   5)重篤な心機能不全   6)重篤な高血圧症   7)本剤に過敏症   8)アスピリン喘息(NSAIDs等による喘息発作の誘発)又はその既往歴
【慎重】   1)消化性潰瘍の既往歴   2)血液の異常又はその既往歴   3)肝障害又はその既往歴   4)腎障害又はその既往歴   5)心機能障害   6)高血圧症   7)気管支喘息   8)SLE   9)潰瘍性大腸炎   10)クローン病   11)過敏症の既往歴   12)高齢者

●NSAIDsの消化管に対する副作用

  • 消化不良 15〜20%
  • 潰瘍とびらん:3ヵ月のちに15〜40%
  • 穿孔
  • 消化管出血
  • リスクを高めるのは
    • 潰瘍の存在、既往
    • ステロイド服用
    • 抗凝固薬の服用
    • 60歳以上
    • 30日以上服用
    • アルコール摂取
  • 出典:2409
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●NSAIDsにより胃粘膜傷害はなぜ起こる。

  • つぎの三つの機序による
    • 1.直接作用:胃粘膜上皮細胞内に蓄積し、粘膜を傷める。
    • 2.プロスタグランディン合成酵素のシクロオキシゲナーゼ(COX)を抑制し
      胃粘液分泌低下、重炭酸イオン分泌減少、粘膜血流低下させ、
      防御機構が低下する。
    • 3.ロイコトリエンを増加させ、好中球活性化・胃粘膜血量低下により、ラジカルが発生し粘膜を傷める。
  • 胃粘膜傷害の三大原因は(1)ピロリ菌、(2)NSAIDs、(3)ストレスである。
    共通して炎症性サイトカインによる好中球活性化が挙げられる。
  • 出典:日医雑誌119(11),1998、文献番号2025
  • 消炎鎮痛薬(アスピリンなど)は非イオン化NSAIDs(水素イオンと結びついたもの)となり細胞内に入り込む。
    酸化的リン酸化を阻害し、ATPを減少させ、血管内皮を障害し胃粘膜傷害を生ずる。
    (中村隆司、新薬と治療 2002;52:5)
  • NSAIDs胃粘膜傷害における2つの型(仮説)
    発症形式     急性     慢性
    好発部位     胃体部    前庭部
    潰瘍の大きさ   大      小
    潰瘍の深さ    深      浅
    発症の機序    局所性   全身性
            (pH関連)  (PG関連)
    治癒速度     速      遅
    主な治療薬    酸分泌抑制  PG補給
             PP、H2RA   (ミソプロストール)
    (中村隆司、新薬と治療 2002;52:5)
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.
●NSAIDsによる胃粘膜傷害の回避法

  • 食直後に服用させる
  • アルコールは控えさせる
  • 坐薬やプロドラッグを使用する(完全な予防は不可能)
  • 制酸剤、粘膜防御剤、抗ペプシン剤(スクラルファート(アルサルミン)を併用する
  • 消化管障害が少ないアセトアミノフェン、選択的 COX-2 阻害剤メロキシカム (モービック)を使用する
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  • NSAIDsによる急性胃粘膜病変
    東京女子医科大学成人医学センター教授 前田 淳
    ドクターサロン 2003;47(7):583-
  • 急性胃粘膜病変の半数近くが薬剤性。その7割がNSAIDs
  • 坐剤によっても起こる
  • 7割が60歳以上
  • 長期服用は胃前庭部(特徴)、短期服用は胃体部
  • 胃前庭部の潰瘍はのピロリの感染が少ない
    • 粘液層が破壊され生息しにくい
    • NSAIDsでは、静菌作用がある
  • 潰瘍の治療
    • PPI プロトンポンプ阻害剤
    • ミソプロストール(プロスタグランジンE1誘導体防御因子増強剤)併用
  • 予防
    • H2ブロッカーの胃炎・潰瘍治療の半分量
    • COX 2阻害薬
    • 空腹時に飲まない
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●気管支喘息患者の解熱剤

  • 気管支ぜんそく患者の発熱時に非ステロイド系抗炎症薬(NSAIDS)はアスピリン喘息患者には禁忌になっている
  • (酸性はもちろん塩基性も)
  • 解熱剤をどう使用したらよいか
  • 解熱剤に起因した気管支喘息患者は、全気管支喘息の約6〜7%に上る
  • 女性に若干多い
  • 20歳代から中高年に多発する
  • 副鼻腔炎、鼻茸、嗅覚障害の合併(70〜90%)が多い
  • 発生機序はサイクロオキシゲナーゼ阻害作用による
  • 背景に内因性喘息、アトピー性喘息を有する者、ステロイド依存者が多い
  • 問診によって判明する事は、10〜60%程度
  • 純粋に判定するには、解熱剤による吸入負荷試験を実施する
  • 解熱剤誘発喘息を否定できなければ、面前内服、約1時間様子をみる
  • アセトアミノフェンなど誘発作用が少ない薬剤を選択するほうが好ましい
  • 治療の際、静注用コハク酸エステル型のステロイドもアスピリン誘発様の喘息を起こす
  • 出典 CLINICAN 2002(512):711-712
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●NSAIDsにより腎傷害はなぜ起こる

  • プロスタグランディン低下により
    • 腎血流量低下(急性腎不全)
    • 塩化物吸収増加(浮腫・高血圧)
    • レニン低下(高カリウム血症)
    • ADH増加(低ナトリウム血症)
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●OTC解熱鎮痛薬に関するNational Kidney Foundationの勧告

  • OTC NSAIDsは、腎臓に対して高い危険性があることを患者に警告するよう、ラベル表示すること
  • 腎疾患のある患者や体液が減少している患者には、NSAIDsの使用を避けること;どうしても必要な場合は、腎機能をモニターすること
  • 妊婦へのNSAIDsの使用は避けること
  • 長期にわたるNSAIDsの使用は避けること;どうしても必要な場合は、腎機能をモニターすること
  • 腎臓に対する安全性の点から、NSAIDsの投与前に併用薬をチェックすること
  • 腎疾患を有する患者において、アセトアミ/フェンは非麻薬性鎮痛薬として残された唯一の選択肢である
  • 医学的に必要性が認められない限り、解熱鎮痛薬の漫然な投与は避けること
  • 解熱鎮痛薬を長期投与する際には、十分に注意して、経過観察すること
  • 出典:2409
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●合併症のある場合の解熱鎮痛薬使用上の注意

  • 消化器潰瘍
    • ⇒消化器
    • 胃潰瘍の20〜30%はNSAIDsが原因
    • 十二指腸潰瘍の数パーセントはNSAIDsが原因
    • 潰瘍の既往歴のある患者に出血を起こしやすい
    • アスピリン服用2時間以内に直接作用により粘膜障害
    • 胃血液量の低下はその後の数日間に起きる
    • ヘリコバクター・ピロリとは無関係に消化管障害を起こす
    • 注射薬・坐薬でも消化管障害を起こす
  • 腎臓病
  • 喘息: アスピリン喘息(NSAIDsによる喘息発作誘発)又はその既往歴は禁忌(アスピリン喘息の発症にPG合成阻害作用が関与)
  • 糖尿病
    • NSAIDsによる腎毒性を受けやすい
    • サリチル酸誘導体は糖新生を阻害する。
  • 痛風・高尿酸血症
    • サリチル酸誘導体は尿酸排泄を阻害する。
    • プロベネシドなど痛風治療薬の効果を阻害する。
  • 高血圧
    • NSAIDsは高血圧を発症
    • NSAIDsは降圧剤の作用を低下させる。
  • アルコール多飲者
    • 大酒家のアセトアミノフェンは肝毒性の可能性がある。
    • 普通のアルコール量でアセトアミノフェンを規定どおりのんでいる分には安全
    • NSAIDsは消化管合併症のリスクとなる
  • 出典:2409
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  • アスピリンとライ症候群の因果関係は1980年のStarkoらの指摘に始まる。
  • いくつかの研究で因果関係が明らかとなった。
  • 例えば1985年パイロット研究では、サリチル酸製剤の服用率はライ症候群で93%、対照群で46%
  • アメリカではアスピリン類を控えてライ症候群が激減した。
  • 日本の報告は「灰色判定」。
  • 別府らによると死亡したライ症候群小児はNSAIDsを90%服用、死亡しなかった群では30%
  • データを解析すると、ライ症候群のような脳症疾患とNSAIDsは関係ある。
  • 小児にはNSAIDsは使わない。使うとすればアセトアミノフェンがよい。
  • 文献:別府ら Nikkei Medical 2000;6:107-108)
  • 厚生省医薬品・医療器具等安全性情報(No.158), 1999
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●ライ症候群とサリチル酸系製剤の間の関係

  • 米国では、疫学的な関連性が示されたが、本邦では関連性は明らかでない。
  • これは 日米のアスピリンの使用状況の差が結果に反映されたものと考えられる。
    我が国小児のアスピリンの使用量は通常10〜20mg/kg/日、最大でも20〜30mg/kg/日
    米国でのライ症候群患者のアスピリン使用量26.4mg/kg/日(中央値)
    日本と米国ではアスピリンの1人当たりの消費量に十倍以上の差があった
  • 米国の疫学調査結果ではアスピリンの使用量の増加とともに危険性が増す
  • 日本でのライ症候群の発生数が非常に低い
  • 米国ではアスピリンの使用が減少することに伴いライ症候群が著しく減少した
  • 我が国では明確な減少は見られなかった。
  • 米国ではライ症候群の好発年齢層が10代であったのが、
    ライ症候群の減少後は好発年齢層が低下し、
    日本のライ症候群の発症状況に近づいている。
  • 日医雑誌121:270-275,1999
  • ▲top

●平成10年12月24日付け厚生省医薬安全局長通達

  • サリチル酸系製剤に関する措置について
  • 今般、アスピリン等サリチル酸系薬剤とライ症候群との関連性についての中央薬事審議会副作用第二調査会の意見を踏まえ、下記の措置を講ずることとした(以下略)
  • 1 医療用医薬品について
    (1)アスピリン、アスピリンアルミニウム、サリチル酸ナトリウム又はサザピリンを含有する医薬品の使用上の注意や「重要な基本的注意」を次のように改める。
    「サリチル酸系製剤の使用実態は我が国と異なるものの、米国においてサリチル酸系製剤とライ症候群との関連性を示す疫学調査報告があるので、本剤を15才未満の水痘、インフルエンザの患者に投与しないことを原則とするが、やむを得ず投与する場合には、慎重に投与し、投与後の患者の状態を十分に観察すること。
    [ライ症候群:小児において極めてまれに水痘、インフルエンザ等のウイルス性疾患の先行後、激しい嘔吐、意識障害、痙攣(急性脳浮腫)と肝臓ほか緒臓器の脂肪沈着、ミトコンドリア変形、COT、GPT・LDH・CPKの急激な上昇� ��高アンモニア血症、低プロトロンビン血症、低血糖等の症状が短期間に発現する高死亡率の病態である。]」
  • (2)サリチルアミド又はエテンザミドを含有する医薬品の使用上の注意に(1)と同様の内容を記載する。
  • ▲top

●ライ症候群の診断基準(米国CDC)

  • 1)急性非炎症性脳症で臨床的には意識障害を示す.
    脳脊髄液で細胞数8/mm3以下、
    または脳の組織標本で脳浮腫あり,
    血管周囲・髄膜の炎症なし.
  • 2)生検または剖検で肝の微細脂肪沈着、
    または血清AST、ALTないし血中アンモニアの正常値の3倍以上の上昇.
  • 3)脳障害や肝障害を説明できる他の成因なし.
  • ▲top

●フェナセチンは精神賦活効果がある

  • フェナセチンは精神賦活効果がある。これを含む鎮痛薬が依存を形成する可能性がある。
    Feinstein AR, Heinemann LA, Dalessio D, et al.: Do caffeine-containing analgesics promote dependence? A review and evaluation.

    Clin Pharmacol Ther 2000, 68:457-467
  • ▲top

●非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)による浮腫

  • 上部消化器の副作用で米国では年問1万6500人が死亡
  • 非ステロイド性抗炎症薬の血圧上昇作用が最近注目されている
  • 浮腫はすべてのNSAIDsで生じ得る
  • NSAIDsは、生体防御反応をつかさどるプロスタグランジンの生成を促進するシクロオキシゲナーゼ(COX)の働きを押制し、Naの尿細管での再吸収を促進することで、体内のNaと水分を増加させると報告されている
  • 高血圧や浮腫はCOX−2抑制による副作用と考えられている
  • 海外の試験では3〜6%の高頻度に発生している
  • 浮腫が生じる要因は、高血圧と関連していると考えられる
  • 血圧が上がると毛細血管の透過性が亢進し、血管外ヘの水分の喪失が大きくなる
  •  (Nikkei Medical 2003;3:131-132)
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●消炎鎮痛薬と不妊

  • NSAIDsのいくつかの添付文書には、その他の注意として
    非ステロイド性消炎鎮痛薬を長期間投与されている女性において、
    一時的な不妊が認められたとの報告がある。 と、記載されています。
  • プロスタグランジンは、排卵、分娩等の 生殖機能に対する影響のひとつとして、
     排卵に対する影響が知られています。
  • 卵胞の顆粒細胞にCOX−2が誘導され、PGE2が産生され、排卵が誘発されます。
  • そこでCOX−2の阻害作用により、 排卵が抑制されることが考えられ、不妊にという副作用の発生の可能性が予測されます。
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●NSAIDsは心血管(CV)リスクを増やすか

  • 2005年、米国においてCOX2阻害薬のCVリスク問題が発生しました。
  • 具体的にはメルクのロフェコキシブ、ファイザーのバルデコキシブの2薬です。
  • COX2阻害薬はCOX1の善玉作用は残し、COX2の悪玉作用(疼痛)をやっつけるという画期的な新薬のはずでした。
  • しかし心血管リスクを増やすという疫学データが出たためにこの2製品は、現在も販売中止となっております。
  • しかしセレコックス{R}(成分名:セレコキシブ)は、国内外において添付文書上でのCVリスクに関する警告・注意の記載がありますが、現
    在も市販されております。
  • なぜCOX2阻害薬が心血管リスクを増やすかという説明ですが・・・。
    • COX-2阻害薬は、COX-2を阻害し、血管内皮のPGI2産生を低下させる。
    • その結果、血小板の凝集抑制がおさえられ、血栓形成が亢進される。
    • COX-1阻害作用が弱いので、血小板でのTXA2の産生を阻害しない。
    • そのため、凝集が促進され、血栓形成が起きやすくなる。
    • このようなPGI2とTXA2のバランスがCOX-2阻害薬のCVイベントの増加に関与している。
  • では一般のNSAIDs(COX1とCOX2阻害作用を併せ持つ)のCVイベントのリスクはどうか・・・
    • FDA(米国食品医薬品局)は、CVイベントが全てのNSAIDに共通したリスクであるという見解です。
    • EMEA(欧州医薬品審査庁)は、COX-2選択的阻害薬の作用であるという見解です。
  • アメリカではNSAIDsが心血管(CV)リスクを増やすと認識されています。
  • しかし日本ではNSAIDsがそれぼとリスクがあるとは認識はなされておりません。
  • 人種差もあるのかもしれませんし、日米の温度差なのかもしれません。
  • NSAIDsは薬物乱用頭痛の原因薬となることから「月10日まで、できれば10回まで」が安全です。
    そもそもNSAIDsは頓服薬です。その限りでは原則安全性の高い薬剤です。
  • なにごとも「過ぎたるは及ばざるがとし」(論語・先進編)です。
  • (2010-01-11)
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文献

  • 心疾患患者で様々な非ステロイド性抗炎症薬 (NSAIDs) の安全性を調べる初の大規模研究の1つで、
    ナプロキセンはジクロフェナク、イブプロフェンや、高用量のrofecoxib (商品名Vioxx、Merck社製造) およびセレコキシブ (商品名Celebrex、Pfizer社製造) よりも心血管に対する安全性が高いことが分かった。Medscape Medical News 2009. (C) 2009 Medscape
    • 2009年5月発行の『Circulation: Cardiovascular Quality and Outcomes』に発表された。
    • その結果、心血管への安全性はナプロキセンが最も高く、重篤な心血管疾患の発生率比 (IRR) が非NSAIDs使用者より低かった。
    • これに対して、その他のNSAIDs使用者では心血管リスクが上昇するというエビデンスが認められた。
      • 薬剤 IRR (重篤な心血管疾患)
        ナプロキセン 0.88 0.91
        イブプロフェン 1.18 1.14
        ジクロフェナク 1.27 1.38
        セレコキシブ 1.03 0.99
        Rofecoxib 1.19 1.07
         
  • 頸動脈内膜除去術実施後に低用量アスピリンの方が有用
    マクマスター大学(カナダ・ハミルトン)臨床疫学のD.Wayne Taylor教授らはThe Lancet(353:2179−2184)に、 頸動脈の重度の閉塞を有する患者2、349例を対象とする国際臨床試験において、31mgまたは325mgの低用量のアスピリンのほうが高用量(650、1,300mg)のアスピリンより頸動脈内膜除去術実施後における脳卒中、心筋梗塞(MI)および死亡のリスクを低下させることを見出した(Medical Tribune 32(41)1999.10.14)
  • Lipton R, Baggish JS, Stewart WP, et al.: Efficacy and safety of acetaminophen in the treatment of migraine. Arch Intern Med 2000, 160:3486-3492 [ PubMed ]
     2時間後の有効率 アセトアミノフェン:プラセボ 57.8% :  38.7%
  • 「ニュース」厚生労働省は2001年5月30日、「小児のインフルエンザに伴う発熱に対して、メフェナム酸製剤の投与は基本的に行わないことが適当である」との結論に達したと発表した。
    日本小児科学会は2000年11月、「インフルエンザに伴う発熱に対して使用するのであればアセトアミノフェンが適切であり、非ステロイド系抗炎症薬の使用は慎重にすべきである」と踏み込んだ見解を示していた。
  • 参考リンク 
  • 非処方箋用量のibuprofenが片頭痛の鎮痛に有効である
    Nonprescription doses of ibuprofen effectively treat migraine pain
    (Headache 2001;41:665-679.)
  • ★長期間にわたってNSAIDを使用するとアルツハイマー病のリスクは低下する
    (N Engl J Med 2001;345:1515-1521.)
  • Medical Tribune [2002年8月22,29日 (VOL.35 NO.34,35 p.27
    ナプロキセンも心筋梗塞に有用
    ほかのNSAIDsと違って
    ナプロキセンは、リスクを16%も減少させた。詳細はArchives of Internal Medicine(162:1099-1104
  • 新セデスSG顆粒が塩野義製薬(株)から医家向けとして発売されました(2003/07/26)。内容は 
    イソプロピルアンチピリン 150mg(解熱鎮痛)
    アセトアミノフェン 250mg(解熱鎮痛)
    アリルイソプロピルアセチル尿素 60mg(沈静)
    無水カフェイン 50mg(鎮痛補助)
  • Cephalalgia 2004;24(10):888 Efficacy of phenazone in the treatment of acute migraine attacks: a double-blind, placebo-controlled, randomized study
    H Gobel, et al.
    ⇒アンチピリン1000mg治療 2時間後の疼痛消失率27.6% 偽薬は13.6%(P < 0.05)




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